チャットレディの報酬は、給与とは違って税金が引かれないまま全額が振り込まれます。そのため、振り込まれた金額をそのまま受け取っているつもりでも、実際には税金を自分で計算して納める立場になっています。年末調整の書類を書いたときや、年明けに確定申告の時期を迎えたときに、はじめて「自分もやらなければいけないのでは」と気づく方は少なくありません。
しかも令和7年分から税制が改正され、申告が必要かどうかの判定に使う控除額が引き上げられました。以前の基準で書かれた情報を読んで判断すると、必要のない申告をしたり、逆に見落としたりすることになります。
この記事では、手元の振込記録から自分の所得を計算して申告が必要かを判定するところから、書類を提出して納めるまでを、実際に手を動かす順番どおりに解説します。経費の決め方や扶養の境界など、ひとりでは判断しにくい部分も具体的に扱います。
チャットレディに確定申告が必要になるのはどんな人か
チャットレディの仕事は、サイトや事務所と雇用契約を結ぶのではなく、業務委託という形で個人が仕事を請け負う働き方です。会社員の給与のように、あらかじめ税金が差し引かれた状態で支払われることはありません。振り込まれた金額には、これから納める分の税金がまだ含まれたままになっています。
そのため、一定の金額を超えて稼いだ場合は、自分で1年分を計算して税務署に届け出る必要があります。まず押さえておきたいのは、判定に使うのは振り込まれた金額そのものではないという点です。
判定に使うのは「所得」であって振込額ではない
税金の世界では、入ってきたお金の総額を「収入」、そこから仕事にかかった費用を引いた残りを「所得」と呼んで区別します。申告が必要かどうかは、この所得のほうで判定します。
本業か副業かで基準が変わる
チャットレディの収入だけで生活しているのか、会社勤めをしながらの副収入なのかで、見るべき数字が変わります。
| 働き方 | 申告が必要になる目安 | 根拠となる考え方 |
|---|---|---|
| チャットレディが本業(他に給与がない) | 所得が基礎控除額を超えたとき | 所得から基礎控除を引いて残りが出ると税金が発生するため |
| 会社員としての給与があり副業として働く | 給与以外の所得の合計が20万円を超えたとき | 給与を1か所から受けている人は、他の所得の合計が20万円を超えると申告が必要 |
| 扶養に入っていて他に収入がない | 所得が基礎控除額を超えたとき | 本業の場合と同じ考え方。あわせて扶養の基準も確認が必要 |
令和7年分から基礎控除額が引き上げられた
ここで注意したいのが、令和7年度の税制改正です。誰にでも適用される基礎控除の金額が見直され、合計所得金額が132万円以下の人は95万円に引き上げられました。改正前は48万円でしたので、判定のラインが大きく動いたことになります。この改正は令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。
なお表にある合計所得金額とは、その年のすべての所得を合計した金額のことです。チャットレディの収入だけで生活している方であれば、先ほど計算した所得がそのまま合計所得金額にあたります。
| 合計所得金額 | 令和7年分の基礎控除額 | 改正前 |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 48万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 48万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 48万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 48万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 48万円 |
所得税の申告が不要でも住民税の届出は必要なことがある
会社員の副業で所得が20万円以下だった場合、所得税の確定申告は不要になります。ただしこれは所得税についてのルールであって、住民税は別の扱いです。住民税には20万円以下なら申告しなくてよいという決まりがないため、お住まいの市区町村への届出が必要になる場合があります。詳しくは市区町村の窓口で確認してください。
確定申告のやり方を5つのステップで確認する
申告と聞くと身構えてしまいますが、やること自体は5つに分かれているだけです。順番に片づけていけば、税金の知識がなくても最後までたどり着けます。まず全体像を確認しておきましょう。
ステップ1 1年間の売上を集計する
最初にやるのは、その年の1月1日から12月31日までに得た報酬の合計を出すことです。チャットレディの場合、給与のような支払明細が発行されないことが多いため、自分で記録を集める必要があります。
複数のサイトに登録している場合は、すべてのサイトの報酬を合計します。1つのサイトだけを集計して済ませてしまうと、後から不足が判明することになります。管理画面の記録と口座の入金額を突き合わせておくと、抜け漏れに気づきやすくなります。
ステップ2 仕事にかかった費用を集計する
次に、その報酬を得るために使ったお金を集計します。照明や通信費など、仕事のために支出したものが対象です。何をどこまで含められるかは判断が分かれるところなので、次の章でくわしく扱います。ここでは領収書やレシートを1年分まとめておく、という作業だと考えてください。
ステップ3 所得を計算して控除を差し引く
売上から費用を引くと、所得が出ます。さらにここから控除を差し引きます。控除とは、税金の計算をする前に所得から差し引いてよい金額のことで、差し引ける分が多いほど納める税金は少なくなります。残った金額に税率をかけたものが、納める所得税の額です。
ステップ4 申告書を作成する
書類は手書きでも作れますが、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うのが簡単です。画面の案内にしたがって金額を入力していくと、税額が自動で計算され、そのまま提出できる形の申告書ができあがります。パソコンでもスマートフォンでも利用できます。
ステップ5 提出して納める
できあがった申告書は、次の3つのいずれかの方法で所轄の税務署に提出します。
| 提出方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 電子申告(e-Tax) | 自宅から送信でき、税務署に行く必要がない | 窓口に足を運びたくない人、青色申告で控除を最大にしたい人 |
| 郵送 | 作成した書類を所轄の税務署に送る | 対面は避けたいが電子手続きに不安がある人 |
| 税務署の窓口 | その場で疑問を質問できる | はじめてで不安が大きい人 |
提出の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。この期間内に申告書を出し、あわせて所得税を納めます。
経費にできるものと、家賃や光熱費の按分の考え方
経費の話になると、多くの解説が「衣装代は経費になる」「化粧品代も認められる」と品目を並べて終わります。しかし実際に判断を迷わせるのは、品目そのものではなくその支出が仕事のためだったと説明できるかどうかです。
国税庁は必要経費について、収入を得るために直接要した費用と、その年に生じた業務上の費用と定めています。つまり判定の基準は品目名ではなく用途にあります。同じ照明器具でも、配信に使っているなら経費になり、部屋のインテリアとして買ったなら経費にはなりません。
全額を計上できるものと、一部だけ計上できるもの
支出は大きく2つに分かれます。仕事だけに使うものは全額を、生活と共用しているものは仕事で使った分だけを計上します。
| 区分 | 該当する支出の例 | 計上できる範囲 |
|---|---|---|
| 仕事専用のもの | 配信用の照明、Webカメラ、マイク、衣装、ウィッグ、配信用に購入した小物 | 全額 |
| 生活と共用するもの | 家賃、電気代、インターネット回線、スマートフォンの通信費 | 仕事で使った割合の分だけ |
| 判断が分かれるもの | 美容院代、エステ代、日常的にも使う化粧品 | 仕事のためだと説明できる部分に限られる |
家事按分は「割合の根拠」をつくる作業
家賃や光熱費のように、生活と仕事の両方にまたがる支出を家事関連費と呼びます。国税庁は、家事関連費が必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られるとしています。
ここが重要なところです。大切なのは割合そのものより、その割合をどう出したかを説明できることです。「なんとなく半分」では区分したことになりません。逆に、根拠のある数え方をしていれば、その金額は経費として説明がつきます。
割合を決める2つの数え方
実務でよく使われるのは、時間で数える方法と、面積で数える方法です。
下の図は、生活と共用している支出のうち、経費にできるのはどの部分かという関係を表したものです。全体のうち仕事で使った分だけを切り出す、というのが按分の考え方です。
1日24時間のうち配信に使った時間の割合(1日4時間配信の場合)
決めた割合と根拠は書き残しておく
按分の割合は、後から説明を求められることがあります。そのときに困らないよう、どういう数え方で何割にしたのかをメモに残しておきましょう。配信時間の記録、間取り図、計算に使った式を保管しておけば、それがそのまま根拠になります。
青色申告と白色申告はどちらを選ぶべきか
申告のしかたには青色と白色の2種類があります。違いをひとことで言えば、手間をかける代わりに控除を受けられるのが青色、手続きなしですぐ始められるのが白色です。青色を選ぶと、前の章で見た基礎控除とは別に、さらに所得から差し引ける金額が増えます。
| 白色申告 | 青色申告 | |
|---|---|---|
| 事前の手続き | 不要 | 申請書の提出が必要 |
| 帳簿のつけ方 | 簡易な記帳でよい | 複式簿記(10万円の控除なら簡易な記帳でも可) |
| 受けられる控除 | なし | 最大65万円 |
| 提出する書類 | 収支内訳書 | 貸借対照表と損益計算書(10万円の場合は不要) |
青色申告の控除額は3段階に分かれる
青色申告の控除は一律ではなく、どこまで手間をかけるかで金額が変わります。表に出てくる複式簿記とは、お金の動きを2つの側面から記録する帳簿のつけ方のことで、簿記の知識がなくても会計ソフトを使えば作成できます。
| 控除額 | 必要な条件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告。加えて電子帳簿保存の要件を満たすか、e-Taxで申告すること |
| 55万円 | 複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告。電子帳簿保存やe-Taxの要件は満たさない場合 |
| 10万円 | 現金出納帳などの簡易な記帳でよく、貸借対照表と損益計算書の作成も不要 |
65万円と55万円の差は、電子帳簿保存かe-Taxかという提出方法の違いだけです。同じ帳簿をつけるなら、e-Taxで出すほうが10万円分得をすることになります。
申請には期限がある
ここは見落としやすいところです。3月に申告書を出すときには、その年の青色申告の申請期限も過ぎているため、「確定申告をしながら青色に切り替える」ということはできません。青色申告を考えるなら、前年のうちに動く必要があります。
どちらを選ぶかの考え方
選ぶ基準は、所得の規模と、帳簿づけにかけられる時間のバランスです。所得が少ないうちは控除の恩恵も小さく、帳簿の手間のほうが負担に感じられます。一方で所得が増えてくると、控除による差が無視できない大きさになります。
扶養の範囲と、家族や勤務先に知られないための備え
申告そのものより、扶養から外れないか、家族や職場に知られないかのほうが気がかりだという方は多いはずです。ここを曖昧にしたまま進めると、後から思わぬ形で影響が出ることがあります。
まず知っておきたいのは、ひとくちに扶養と言っても税金の扶養と、健康保険や年金の扶養は別の制度だということです。基準の金額も、判定のしかたも違います。この2つを混同したまま収入を調整すると、片方の基準は守れていても、もう片方から外れてしまうことになります。
税の扶養と社会保険の扶養は判定のしかたが違う
| 税金の扶養 | 健康保険・年金の扶養 | |
|---|---|---|
| 基準となる金額 | 合計所得金額58万円以下 | 年間収入130万円未満 |
| 何で判定するか | 経費を引いたあとの所得 | 経費を引く前の収入 |
| いつの数字で見るか | その年の1年間が終わった時点の実績 | これから1年間の見込み |
| 主な例外 | 令和7年分から48万円より引き上げられた | 60歳以上や障害のある方は180万円未満 |
とくに見落としやすいのが判定に使う時点の違いです。税金の扶養は1年が終わってから実績で判定しますが、健康保険の扶養は過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の見込み収入額で判定されます。つまり月々の稼ぎが増えて、そのペースが続くと見込まれた時点で外れる可能性があるということです。
勤務先に知られたくない場合の備え
会社員として働きながら副収入を得ている場合、勤務先に伝わる経路として最も多いのが住民税です。副業分を含めた住民税が勤務先経由で天引きされると、金額の変化から気づかれることがあります。
税務面の相談ができる事務所を選ぶという方法
ここまで見てきたとおり、扶養の判定も住民税の扱いも、自分ひとりで確信を持って判断するのは簡単ではありません。所属する事務所によっては、顧問税理士や経理担当が確定申告そのものを見てくれる体制を用意しているところがあります。仕事の性質上、周囲に相談しづらいからこそ、こうした体制の有無は働く場所を考えるときの判断材料になります。
下の表は、税務面のサポート体制を公表している事務所を、確定申告の支援体制、社会保険や社員制度、身バレ対策、運営の実績という4つの軸で並べたものです。重視したい軸から見ていくと、自分に合う体制が見つけやすくなります。
| ブランド | 魅力まとめ | 確定申告のサポート体制 | 社会保険・社員制度 | 身バレ・家族バレ対策 | 運営の実績 |
|---|---|---|---|---|---|
グループ契約の税理士が確定申告をサポートし、会社や家族に知られず申告できると明記。社会保険・雇用保険・厚生年金の手続きは事務所が全て代行し、扶養から抜けずに働くことも可能。身バレゼロ宣言を掲げ店舗住所は非公開、終電後も一人ずつ送迎。2004年設立の法人運営で21年の実績を持ち、インボイス制度で発生する消費税は事務所が全額負担する。 | 税理士が対応 グループ契約の税理士が申告をサポートし家族に知られず対応できる | 手続きを全代行 社会保険・雇用保険・厚生年金の手続きを事務所が全て代行する | 身バレゼロ宣言 店舗住所は非公開、終電後も一人ずつ送迎して自宅を知られない配慮 | 2004年設立 21年続く法人運営でグループ5000人超のチャットレディの実績を持つ | |
納税申告は経理部が代行し、本人は領収証を集めて月毎に提出するだけという分担の明確さが特徴。顧問税理士と経理部が確定申告を全面的に対応する。特別社員制度で健康保険・厚生年金・雇用保険に加入でき、賃貸契約やクレカ申込で正社員と記入できる。扶養内でも親バレしないよう源泉徴収を本人以外に発行し家族通知は一切なし。創業2001年、20年来の会計事務所と提携。 | 経理部が代行 納税申告は経理部が代行し本人は領収証を月毎に出すだけで済む | 特別社員制度 健康保険・厚生年金・雇用保険に加入でき収入証明も提出できる | 家族通知なし 源泉徴収を本人以外に発行し扶養内でも親に知られない運用 | 創業2001年 20年来の会計事務所と提携し税務署調査もほぼ是認の実績を持つ | |
業界経験豊富な専門の顧問税理士が在籍し税金対策を支援すると公式が明記。希望者が正社員になれるプロコース制度があり、社会保険加入や健康診断、ローンやカードの審査面での利点がある。本業に事務所から連絡することはなく、扶養内勤務も相談可能。顔出しなし・マスク着用のままの勤務に対応し、事務所住所は在籍者保護のため非公開としている。 | 顧問税理士が在籍 業界経験豊富な専門の顧問税理士が税金対策を支援すると公式に明記 | プロコース制度 希望者は正社員になれて社会保険や健康診断の対象になる | 顔出しなしOK マスク着用のまま勤務でき事務所住所も在籍者保護のため非公開 | 業界15年以上 草創期から15年以上続く老舗で法人化により社会的信用度も高い |
いずれの体制を選ぶ場合も、最終的な判断に迷ったときは税務署の相談窓口や税理士に確認するのが確実です。無料の相談会が開かれている時期もあるため、申告期間に入る前に一度問い合わせておくと安心して進められます。
申告しなかった場合と、過去の分を今から出したい場合
これまで申告してこなかった年がある方にとって、いちばん知りたいのは「今から動いたほうがいいのか」という点だと思います。結論から言えば、自分から申告したほうが、指摘を受けてからより負担は軽くなります。制度がそのように設計されているためです。
いつ動いたかで上乗せの割合が変わる
期限までに申告しなかった場合、本来納めるべき税額に加えて無申告加算税がかかります。この割合は、どの段階で申告したかによって変わります。
| 申告したタイミング | 上乗せされる割合 |
|---|---|
| 自分から期限後に申告した | 5パーセント |
| 税務署から調査の事前通知を受けた後に申告した | 50万円まで10パーセント、50万円超300万円まで15パーセント、300万円超は25パーセント |
| 調査を受けた後に申告した、または税額の決定を受けた | 50万円まで15パーセント、50万円超300万円まで20パーセント、300万円超は30パーセント |
上の表のとおり、自分から動いた場合の5パーセントと、調査後の15パーセント以上とでは差が大きくなります。加えて、納付が遅れた期間に応じた延滞税もあわせて納めることになります。
手元に記録が残っていない年をどうするか
数年前の分となると、サイトの管理画面に履歴が残っていないこともあります。その場合でも、銀行口座の入金記録から売上を再現できます。通帳やネットバンキングの取引履歴を年ごとに集計し、そこから当時の経費を差し引けば、申告に必要な数字は組み立てられます。
記録の復元に不安がある場合や、複数年分をまとめて整理する必要がある場合は、税務署の相談窓口や税理士に相談したほうが結果的に早く片づきます。
よくある質問
まとめ
チャットレディの報酬は税金が引かれないまま振り込まれるため、一定の金額を超えたら自分で申告する立場になります。判定に使うのは振込額そのものではなく、そこから仕事にかかった費用を引いた所得です。会社員の副業なら給与以外の所得が20万円を超えたとき、他に給与がないなら所得が基礎控除額を超えたときが目安になります。
とくに押さえておきたいのは、令和7年分から基礎控除が引き上げられたことです。合計所得金額が132万円以下なら95万円となり、改正前の48万円を基準に書かれた情報のままでは判断を誤ります。
ひとりで判断しきれない部分が出てきたときは、税務署の相談窓口や税理士に確認するのが確実です。所属する事務所によっては、顧問税理士や経理担当が申告そのものを見てくれる体制を用意しているところもあります。周囲に相談しづらい仕事だからこそ、頼れる先を確保しておくことが、毎年の負担を軽くしてくれます。
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